非言語コミュニケーションを活用して表現力豊かに
「7-38-55 のルール」というものがあります。
言葉・声のトーン(声の表現)・表情の示す内容が一致しない場合、
それぞれの要素がどれぐらい重要視され、最終的なメッセージの決定に寄与するのかを表した割合が、7-38-55 なのです。
つまり、言葉は 7%、声は 38%、表情は 55% の決定権を持つのです。
これは Albert Mehrabian の1971年の著書『Silent Messages』の第3章で示された数値で、
「メラビアンの法則」と呼ばれたりもします。
著書の内容
著書では、Mehrabian たちの1967年の2つの研究結果から、次の等式が導かれたとしています(p.43)。
Total Liking = 7% Verbal Liking + 38% Vocal Liking + 55% Facial Liking
つまり、表情と言葉が矛盾していれば、表情がメッセージ全体の印象を決定づけ、
電話などで声の調子と言葉が矛盾していれば、声の調子が全体の印象を決定づけるのです。
優先順位自体は、これは考えてみれば当たり前のことで、
例えば笑顔(ポジティブな表情)でネガティブな言葉を言われても、
「本気でそう思ってるんじゃないんだろうな」と思いますよね。
逆に怒った顔(ネガティブな表情)でポジティブな言葉を言われても、
「本当は怒ってるんじゃないの?」と疑ってしまって、その言葉を信じられません。
嘘をついても表情や声の調子でばれるというわけですね。
目は口ほどに物を言う。
この著書の中でも、次のような例が書かれています(p.44、筆者による訳)。
就職面接で、応募者は全く正しいことを言うかもしれないが、行動が矛盾するために仕事が得られないかもしれない。 その仕事に興味があって、自分は熱心に働くし、本当にその会社の事業をいいことだと考えているのだと、彼は積極的に言うかもしれない。 しかし面接担当者は、彼の無感情で無表情な顔と声は、この言葉で表現された熱意をほとんど全く裏付けていないことに気づき、直感的に彼は本当のことを言っていないと判断するかもしれない。
著書の中ではさきほどの等式を一般化し、「好意」だけではなくあらゆる「気持ち」に適用できるとしています(p.44)。
Total feeling = 7% Verbal feeling + 38% Vocal feeling + 55% Facial feeling
さらに、接触や位置(距離、前のめり、アイコンタクト)、姿勢、ジェスチャーもすべて、言語よりも比重が大きいという一般化もされています(p.45)。
非言語コミュニケーションを活用しよう
何が言いたいかというと、さきほどの面接の応募者みたいにならないようにしましょう、ということです。
言葉だけではなく、ノンバーバル(非言語)の部分も見られているのだということを意識しましょう。
楽しいなら笑顔と楽しそうな声で気持ちを伝えましょう。
ちなみに、表情や声の調子は、他人だけではなく自分にも影響を与えます。
笑顔でいると自他ともに楽しい気持ちになるし、低い声は人を落ち着かせるし、
パワーポーズは自信を高めてくれます。
他人だけではなく自分にも、言葉よりもはるかに大きな影響を与える非言語コミュニケーション。
ぜひ積極的に使ってみてください。
お読みいただきありがとうございました。
では