声の大きさは、主に3つの要素から作られると思っています。
私は昔から(母によると生まれたころから)声が小さく、
初対面の人と1分間話しただけで「おとなしいな!」と言われてしまうしまつでした。
いろいろ試していくなかで、声を大きくするためには、
呼吸、声帯閉鎖、共鳴の3つの要素が絡んでくるということに気が付きました。
つまり、
声の大きさ=呼吸×声帯閉鎖×共鳴
です。
音のエネルギーの「大きさ」と「鋭さ」
各項の説明に入る前に、音のエネルギーの考え方について簡単に説明しておきます。
最終的な聞こえ方としての声の大きさは、音のエネルギーの大きさ×鋭さで決まると思っています。
エネルギーが鋭いというのは、遠くまでよく響くということです。
エネルギーの大きさだけで声を大きくするというのはどうしても限界があるので、
エネルギーの鋭さが重要になってきます。
呼吸
肺活量とか、腹式呼吸(腹から声出せ)、というのがこれにあたります。
これは音のエネルギーでいうと、エネルギーの大きさを調整するものになります。
一般人が声の大きさとして一番よく意識し、
そのゆえか他のものが見過ごされているような気がします。
肺活量も腹式呼吸も巷ではよく言われていることですが、
馬鹿の一つ覚えみたいに肺活量だけ鍛えてもあまり意味がありません。
この文脈で使われる肺活量というのは呼気量のことですが、
声は息を吐いて出すので当然呼気というのは重要です。
しかし、声は声帯が呼気によって振動することで発生するので、
呼気だけ多くても声帯の間をすかーっと抜けるだけになって意味がありません。
とはいえ、呼気が0に近い状態であれば、声の大きさも確保できません。
声の大きさ≒0×声帯閉鎖×共鳴=0
声帯閉鎖
これは音の鋭さを調整するものになります。
肺から送られてきた空気は声帯を振動させることで声を出します。
声帯はゴムのようなもので、張りが強ければ強いほどよく振動します。
声帯をぴんと張りしっかり閉じた状態で、そこを空気が通ろうとすると、
鋭い音が発生します。
空気の通り道が細くなるので、圧力が高まって鋭い声が出ます。
対立としては、溜息の音です。
これは声帯が開いていて空気の通り道が広いため、
圧力がかからずに弱々しい音になります。
ただし、これはやりすぎると喉を痛めます。
呼気量との最適なバランスを模索しなければなりません。
共鳴
これも音の鋭さを調整するものになります。
肺から声帯を通り過ぎた空気は、
鼻や口までの空間で共鳴することで増幅されます。
この共鳴空間の形を変えることで、どの周波数帯域を中心に増幅するかを変化させることができます。
鼻声と口からの声で音色が変わるのはそのためです。
等ラウドネス曲線(鈴木 2004)が示すように、基本的に高い音のほうが感覚的によく聞こえるので、
高音域を増幅する鼻腔共鳴によって、音を鋭くすることができます。
高い声を出すためなら鼻腔共鳴をする必要性は必ずしもありませんが、
ずっと高い声で話すわけにはいかないので、
鼻腔共鳴で高周波数の要素を増幅させることになります。
最初に示した等式をもう少し説明的に正確に書き換えると、
聞き手が感じる主観的な声の大きさ=声帯を通る呼気量×声帯閉鎖の強さ×(音の高さ×鼻腔共鳴の強さ)ということになりそうです。
あとは精神的な部分として、自分の声に対する自信も無視できないと思います。
お役に立てれば幸いです。
では