海外の研究が明かした伝わりやすい声の3つの特徴

 

同じ言葉でも、相手に理解してもらいやすい声と、伝わりづらい声とがありますよね。

この違いは一体どこから生じるのでしょうか。

アメリカのインディアナ大学の論文(Bradlow et al. 1996)が、この答えを示唆しています。

今回は、この論文の内容をご紹介しながら、相手に伝わりやすい声の要件についてお話します。


研究チームはまさに

What makes one talker more intelligible than another?

(ある話し手を別の話し手よりもより理解しやすくするものとは?)

という問いに対する答えを探りました。

この研究で用いられたデータベースは、一般的なアメリカ英語の話者(男性10人、女性10人)による、100の Harvard sentences(音声的にバランスのとれた文章)から成り立っています。

データベースには音声データのほかにも、話者1人につき10人の聞き手が記述式で記した発話理解度のデータも含まれています。

聞き手の一人ひとりが、話者の発話した100文を聞き取り、聞き取ったそれぞれの文をコンピュータに入力しました。

文中のすべてのキーワードが正しく聞き取れたときにのみスコアが加算され、100文で100点満点でスコアがつけられました。

10人の聞き手のスコアの平均が、その話者の全体的なスコアとなります。

このデータベースをもとに、その他の先行研究もあわせ、この論文ではさまざまな推察がなされました。


抑揚は大きく

基本周波数(F0)の平均と伝わりやすさに強い関係性は確認できなかったようですが、

基本周波数の範囲が広いほど伝わりやすいという傾向があることが確認されました。

基本周波数は、私たちが普段声の高さとして認識している周波数です。


母音の区別ははっきりと

母音間の差異が少ないほど伝わりやすさの程度が下がるという関係性が示されました。

研究では各母音の発声時における第1フォルマント(F1)と第2フォルマント(F2)を調べているのですが、

各母音間でのフォルマントの違いが大きいほど、特に F1 の差が大きいほど、比較的スコアが高かったのです。

基本周波数やフォルマントはスペクトラムアナライザというものを使って解析することができます。

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各音の発声タイミングに気を付けて

存在はするが音は消えるという場合と、音がどちらの音節に属するか曖昧な場合に、聞き間違いが起こりやすかったそうです。

論文中の例でいうと、前者について、 “walled town” の /d/ の音がうまく認識されるのは、

口の空間を閉じている(舌で息の流れを塞いでいる)間の発声の持続時間が長いときでした。

後者については、“play seems” の /s/ の音が周囲の音節の持続時間と比べて短いほうが、

“place seems” という聞き間違いが起こりにくいということが確認されました。


日本語ではたいてい子音と母音がセットになっているので、このような聞き間違いはないかもしれません。

ただ、促音(っ)や長音(ー)の長さが周りの音節よりも短いと、認識されない可能性があります。


女性の声のほうが伝わりやすい?

平均すると女性の声のほうが男性の声よりも伝わりやすいことが確認されました。

さらに、最も伝わりやすかった上位の4人は女性の話者であり、下位の4人は男性の話者でした。

基本的に男女の声門の形状は異なっているのですが、そこから生じる音声的特性の違いが伝わりやすさに関係するかどうかはここでは示されていません。

ただ、アメリカ英語に特徴として phonological reduction phenomena の発生は男性のほうが多いということが触れられており、

男女の声質の違いよりも reduction phenomena のほうに原因があるのではないかとされているようです。

reduction phenomena というのは、母音の区別の曖昧化やフラッピングなどの現象のことです。

発音がちょっと適当になるというようなイメージでいいと思います。


ただ、男性の声でも reduction がなければ、女性と大きな差異があるというようなことはないでしょう。

今回ご紹介しているのも話し方の問題なので、性別に関係なく改善が可能です。

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発話速度は関係するとはいえない

発話速度(ひとつの文を読み上げるのにかかった時間)の平均と伝わりやすさに強い関係性は確認できませんでした。

ただし、文中における休止時間の数と長さが多いこととの関連性はありえるとのこと。


アメリカ英語にはあてはまるが…

ところで、先に述べたように、この研究ではアメリカ英語のデータベースを使用していますので、アメリカ英語にはあてはまるかもしれません。

しかし、他の英語や日本語など他の言語には限定的にしかあてはめることができないというところは注意してください。

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以上、研究論文で示された内容をお話しました。

考えてみれば当たり前のことも多いですが、意外に感じた点もあったのではないでしょうか。

すべて自分でコントロール可能なものなので、発声を改善したい方はぜひ試してみてください。

参考になれば幸いです。

ではまた👋